その漁村の漁師さんが、その漁村を訪ねてこられた方に、「あなたは神様を信じられますか?」と聞かれたそうです。
この訪ね人は、突然の質問にどう返そうか考えられていたところ、この漁師さんは、「あたしはどうもおられるようなきがしてならない」と語られ、不思議な話をはじめられたそうです。
以前その漁師さんを含めた漁師さんたちが漁に出られたそうです。
ところが、海は大しけになり、船は沈没し、この漁師さんは、木材の一つにしがみついて溺れるのを免れたそうです。
その後、捜索の船に救われたそうですが、懸命の捜査にもかかわらず、結局発見されたのはこの漁師さん一人だけで、帰路に付かれたそうです。
遭難現場からずいぶ離れた頃、この漁師さんは船長に、「自分を救ってくれたあの木材を現場に置いてきてしまった。しかし、あの木材は自分の命の恩人なので、取りに帰ってもらえないだろうか」、と告げられたそうです。
既に捜索船は、現場から随分離れてしまっており、しかも夜なので、船長はこの漁師さんに戻っても見つけることは不可能であるのであきらめるように説得なさったそうです。
しかし、この漁師さんは、泣いて請われたそうで、船長さんも立派な方で、そこまでおっしゃるなら戻って探そうとおっしゃったそうです。
遭難現場まで数時間をかけて戻り、サーチライトで夜の海に木材を探されたそうですが、ずいぶん時間をかけてもその木材を見つけることはできなかったそうです。
ただ、一緒に乗っていたほかの漁師さんたちが、やはり他の木材にしがみついて助けを待っていたのを見つけられ、全員救助となったそうです。

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